都市の巣箱ができるまで vol.2
設計も施工も。自分のことを欲張りなだけだと笑う夫。
自分の思い描いたことを形にできることは、稀有なことだと思う。
そして作りながら、やっぱりここはこうがいいかもしれないと立ち止まったり振り返ったり、いろんな大きさの歯車を組み合わせ回転させている時は、いつも悩ましく楽しそう。
お家の前には大きなゴムの木があって、朝は屋根に愛らしい葉っぱの影が落ちてとても綺麗。
この場所だけでなくこうした採光も、設計段階で見えているというから、経験や目線にうらやましく思う。
思い描いた景色が目の前に広がった時、彼の心にうつる感情はどんなものだろうなと、思ってみたりする。
建て方や屋根が終わると、そこからは内装を一人で黙々と。地道な作業をコツコツと繰り返し、少しずつ少しずつ。
なんでもこの時が大事なんですね。やっていることは違えど、日々の暮らしも子育ても、地道ににコツコツ。
少しずつ見え始める家の形に、心も小躍り。
天井に琉球ビーグ(い草)がはられているので、部屋中にい草の匂いが広がって(ついでに鼻の穴も広がって)、新しい匂いにこれなこれなと思わず呟いてしまいます。
天井に琉球ビーグというのも初めての試み。畳屋さんの心意気が力一杯表現された一枚です。というのも、琉球ビーグは今や絶滅危惧種のような存在、ビーグを育てる人がどんどん減っているそうです。その貴重なビーグで特別に織ってもらいました。
こうして、新しい試みがいいものを伝えるきっかけになって、生産者さんから作り手へ。そして、大切に使ってくれる人へとつながっていくといいなという夫の気持ちも込められています。
いいものを絶えることなく作り続けてほしい。私たちも一歩一歩ですが、できることを。
天井と、お家の顔になる吹き抜けの大きな窓。
これもまた、出来上がりにむけて、表情を変えていきます。
お楽しみに。